「ポスティングを始めたいけど、どの配布方法が良いの?」「よく聞く『軒並み配布』って、うちの会社に合っているのかな?」そんな疑問をお持ちではありませんか?ポスティングの「軒並み配布」は、広く知られる手法ですが、その特性を正しく理解し活用しなければ、期待した効果を得られないこともあります。こんにちは。元ポスティング配布員であり、300社以上のポスティング戦略に携わってきたコンサルタントの私が、長年の経験と実績に基づき、「軒並み配布」の全てを徹底解説します。
この記事を読めば、軒並み配布のメリット・デメリットから、他の配布方法との違い、効果的な活用法、そして気になる費用対効果まで、初心者の方にも分かりやすく理解できます。結論から言うと、軒並み配布は「広範囲に低コストで情報を届けたい」場合に有効な手段ですが、「ターゲットを精密に絞りたい」場合には不向きです。この記事が、あなたのポスティング戦略成功の一助となれば幸いです。
軒並み配布(ローラー配布)とは?ポスティングの基本を徹底解説
ポスティングには様々な配布方法がありますが、その中でも最も基本的で広く利用されているのが「軒並み配布(のきなみはいふ)」です。まずは、この軒並み配布がどのようなものなのか、基本からしっかりと理解しましょう。
軒並み配布の定義:どんな配布方法?ローラー配布と同じ?
軒並み配布とは、指定された配布エリア内において、建物の種類(一戸建て、マンション、アパート、店舗、事業所など)を基本的に区別せず、ポストがある全ての建物にチラシを投函していく配布方法です。「ローラー作戦」のように端から順に配布していくイメージから、「ローラー配布」とも呼ばれます。多くのポスティング業者で、最も標準的な配布プランとして提供されています。
ただし、「全ての建物」と言っても、ポスティング会社が独自に設定している「配布禁止物件リスト」に含まれる建物(過去に配布を断られた個人宅、クレームがあった建物、管理会社から禁止されているマンションなど)や、明らかに空き家、チラシ投函を固く禁じている掲示がある建物などは、配布対象から除外されるのが一般的です。
なぜ軒並み配布が選ばれるのか?ポスティングにおける位置づけ
軒並み配布が多くのケースで選ばれる主な理由は、以下の点が挙げられます。
- 広範囲へのリーチ: 特定のターゲットに絞らず、エリア内のより多くの人に情報を届けたい場合に有効です。
- 比較的低コスト: 配布効率が良いため、他の配布方法(例:選別配布)と比較して、1枚あたりの配布単価を抑えられる傾向にあります。
- 実施の容易さ: 複雑なターゲティング指示が不要なため、発注側も依頼しやすく、業者側もスピーディーに配布準備を進めやすいです。
これらの理由から、新規開店の告知、セール情報、地域住民向けのサービス案内など、幅広い層にアプローチしたい場合に、まず検討される基本的な配布方法として位置づけられています。
【重要】軒並み配布のカバー率の実態:100%配布ではない理由と注意点
「軒並み配布」や「ローラー配布」と聞くと、指定エリアの全てのポストに100%チラシが届けられるイメージを持つかもしれません。しかし、実際には軒並み配布のカバー率は100%にはなりません。 一般的には、指定エリア内の世帯数や事業所数に対して、おおむね70%~80%程度に配布されることが多いと言われています(この数値は業者やエリアの状況により変動します)。
100%にならない主な理由は以下の通りです。
- 配布禁止物件の存在: 前述の通り、ポスティング会社はクレーム防止や住民との良好な関係維持のため、配布禁止物件リストを整備しており、これらの物件には配布しません。
- 物理的に投函できないポスト: ポストが満杯、投入口がガムテープで塞がれている、チラシ投函を明確に拒否する張り紙があるなど。
- 配布員の判断による除外: 明らかに居住実態がないと判断される建物(廃墟同然の空き家など)。
- オートロックマンションの制約: 管理人や住民の許可がなければ内部に入れないため、全戸に投函できない場合があります。(集合ポストのみへの投函となることも)
この「カバー率」を理解しておくことは非常に重要です。例えば、あるエリアの世帯数が1万世帯だとしても、軒並み配布で実際に届けられるのは7000~8000世帯程度になる可能性があるということです。反響率を計算する際や、必要なチラシ枚数を準備する際には、この点を考慮に入れる必要があります。
軒並み配布があなたのビジネスに適しているか即判断!
軒並み配布は万能ではありません。あなたのビジネスの目的や状況によって、最適な配布方法は異なります。ここでは、軒並み配布が「向いているケース」と「避けるべきケース」を明確に提示します。
軒並み配布を選ぶべきケースTOP3
- 広範囲の地域住民に広く浅くアプローチしたい場合:
- 例:スーパーの特売チラシ、地域のイベント告知、新規オープンの飲食店や美容室の認知向上など。
- 理由:ターゲットを限定せず、エリア内の多くの人に情報を届けられるため、まずは広く知ってもらうことが目的の場合に有効です。
- 比較的低予算でポスティングを実施したい場合:
- 例:ポスティングを初めて試す、定期的な情報発信を低コストで行いたいなど。
- 理由:他の配布方法に比べて単価が安い傾向にあるため、予算を抑えつつ広範囲にアプローチできます。
- 提供する商品やサービスが、老若男女問わず多くの人に受け入れられる可能性がある場合:
- 例:生活必需品を扱う店舗、公共的なサービス、幅広い層が利用するデリバリーサービスなど。
- 理由:ターゲットを絞る必要性が低い商材であれば、軒並み配布の「広範囲リーチ」というメリットを最大限に活かせます。
軒並み配布を避けるべきケースと代替案
- 特定のターゲット層(富裕層、学生、高齢者など)にピンポイントで訴求したい場合:
- 例:高級車ディーラー、学習塾、シニア向け健康食品など。
- 代替案:選別配布(セグメント配布)。年齢層、所得層、居住形態(戸建て・マンション)などでターゲットを絞り込んで配布します。
- 高額商品や専門性の高いサービスで、見込み客が限定される場合:
- 例:投資用不動産、専門的なコンサルティングサービス、オーダーメイド商品など。
- 代替案:選別配布や、DM(ダイレクトメール)、**Web広告(ターゲティング広告)**など、より精密なターゲティングが可能な手法を検討。
- 配布エリア内に、明らかにターゲット外の建物が多いと分かっている場合:
- 例:事業所向けサービスを宣伝したいが、配布エリアがほぼ住宅街である場合。
- 代替案:事業所限定配布や、選別配布。
軒並み配布のメリット・デメリットを専門家が本音で解説
軒並み配布には、他の配布方法にはないメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。両面を正しく理解し、自社の目的に合致するかどうかを判断しましょう。
軒並み配布の主なメリット3つ:広範囲へのアプローチとコスト効率
- 広範囲へのリーチ力と高い認知度獲得効果: 指定されたエリア内の不特定多数のポストに配布するため、短期間で多くの人々に情報を届けることが可能です。これにより、店舗の知名度向上やブランドの認知拡大に貢献します。特に新規オープンやリニューアル、大規模セールなど、まずは「知ってもらう」ことが重要な場合に大きな力を発揮します。
- 配布単価が比較的安く、コストパフォーマンスに優れる場合がある: 配布員が特定の建物を探したり選別したりする手間が少ないため、効率的に作業を進められます。その結果、1枚あた définitionの配布単価は他の配布方法(例:選別配布)と比較して低く抑えられる傾向にあります。限られた予算で最大限のエリアカバーを目指したい場合に有効な選択肢となります。
- 潜在顧客の掘り起こしが期待できる: ターゲットを絞らないということは、これまで自社の商品やサービスを知らなかった層や、必要性を感じていなかった層にも情報が届く可能性があるということです。これにより、思いがけない潜在顧客を発見し、新たなニーズを喚起できるチャンスが生まれます。 メリット深掘りH4(1):「とにかく多くの人に知ってもらいたい」を低コストで実現 例えば、地域密公的機関のイベント告知や、災害時の広報活動など、公共性の高い情報を迅速かつ広範に伝えたい場合、軒並み配布の「広く、比較的安く」という特性は非常に有効です。また、飲食店が「今週末限定の特別ランチ」を告知する場合なども、近隣住民全体に手早く知らせる手段として適しています。
軒並み配布の主なデメリットと注意点3つ:ターゲット外への配布と反響のブレ
- ターゲット外の世帯や事業所にも配布されるため、無駄打ちが多くなる可能性がある: 配布エリア内の全てのポストが対象となるため、自社の商品やサービスに全く興味のない層にもチラシが届いてしまいます。これにより、チラシが無駄になったり、費用対効果が悪化したりする可能性があります。特に、ターゲット顧客が明確に限定されている商材の場合は、このデメリットが顕著になります。
- 反響率が他の配布方法に比べて低くなる傾向がある: 不特定多数に配布するため、チラシの内容に興味を持つ人の割合(反響率)は、ターゲットを絞った選別配布などに比べて相対的に低くなることが一般的です。高い反響率を求める場合は、チラシの内容やデザイン、配布エリアの選定などをより慎重に行う必要があります。
- クレームのリスクが相対的に高まる可能性がある: 「不要なチラシを入れられた」と感じる住民からのクレームが発生するリスクは、ターゲットを絞らない軒並み配布の方が、選別配布よりも高くなる可能性があります。信頼できるポスティング業者は配布禁止物件リストを管理していますが、それでも完全にゼロにすることは難しいため、一定のリスクは覚悟しておく必要があります。 デメリット対策H4(2): ターゲット外への配布をどう捉え、どう対策するか ターゲット外への配布は、一見無駄に見えますが、「今は不要でも、いつか必要になるかもしれない」という潜在層への刷り込み効果や、家族や知人への口コミのきっかけになる可能性もゼロではありません。しかし、これを期待しすぎるのは危険です。対策としては、まず「自社の商材が、本当に軒並み配布で許容できる範囲の無駄打ちか」を冷静に判断すること。そして、チラシのデザインを工夫し、一目で「自分には関係ない」と判断されにくい、多くの人にとって有益な情報(例:地域の情報、季節の挨拶など)を盛り込むことで、即ゴミ箱行きになる確率を少しでも下げる努力も考えられます。また、クレームに対しては、ポスティング業者がどのように対応してくれるのかを事前に確認しておくことも重要です。
他の配布方法と軒並み配布を徹底比較!最適なのはどれ?
ポスティングには軒並み配布以外にも様々な方法があります。それぞれの特徴を理解し、自社の目的や予算、ターゲットに応じて最適な方法を選ぶことが成功の鍵です。
【比較表】軒並み配布 vs 全戸配布 vs 選別配布 vs その他
配布方法 | 特徴・概要 | メリット | デメリット | 主な用途・向いているケース |
---|---|---|---|---|
軒並み配布(ローラー配布) | 指定エリア内のポストがある建物(戸建、集合、事業所問わず)に広く配布。カバー率70-80%程度。 | 広範囲リーチ、低コスト、潜在顧客発掘 | ターゲット外への配布多い、反響率低め、クレームリスク相対的に高め | 地域住民向けサービス、新規開店、セール告知など広範囲に知らせたい場合。 |
全戸配布(全世帯配布) | 指定エリア内の配布可能な全世帯・全事業所に限りなく100%近く配布(業者の定義による)。軒並み配布より配布拒否物件への対応が厳密な場合も。 | より網羅的なリーチ、高いカバー率 | 軒並み配布より高コストになる場合がある、ターゲット外への配布は同様に発生 | 公共性の高い情報(行政からのお知らせ等)、選挙公報、エリア内の全住民に確実に届けたい情報。 |
選別配布(セグメント配布) | 特定の条件(戸建のみ、マンションのみ、特定の年収層が多いエリアなど)で絞り込んで配布。 | 高いターゲティング精度、高い反響率期待、無駄打ち少ない | 配布単価が高い、配布に時間がかかる、絞り込み条件によっては配布可能数が少ない | 高額商品、専門サービス、特定のライフスタイルの人向けなど、ターゲットが明確な場合。 |
戸建て限定配布 | 一戸建ての住宅のみに配布。 | 富裕層やファミリー層にリーチしやすい、特定のライフスタイルに訴求 | 配布効率が悪い場合がある、配布単価高め | リフォーム、庭の手入れ、高級車、学習塾など、戸建て住民がターゲットとなる商材。 |
集合住宅限定配布 | マンションやアパートなどの集合住宅のみに配布。 | 単身者や若いファミリー層にリーチしやすい、効率的な大量配布が可能 | 富裕層へのリーチは限定的、ポストの状態により配布不可も多い | デリバリーサービス、単身者向けサービス、近隣店舗の告知など、集合住宅住民がターゲットとなる商材。 |
事業所限定配布 | 会社や店舗などの事業所のみに配布。 | BtoB商材のPR、経営者・担当者への直接アプローチ | 配布可能な事業所が少ないエリアもある、受付突破が必要な場合も | オフィス用品、法人向けサービス、セミナー案内など、企業がターゲットとなる商材。 |
全戸配布との違い:似ているようで異なる目的と効果
「軒並み配布」と「全戸配布(または全世帯配布)」は混同されやすいですが、厳密には意味合いが異なる場合があります。
- 軒並み配布: 前述の通り、配布禁止物件などを除き、エリア内のポストがある建物にローラー的に配布する方法。実質的なカバー率は70~80%程度が一般的。
- 全戸配布: 文字通り、指定エリアの「全ての住居・事業所」を対象とし、可能な限り100%に近いカバー率を目指す配布方法。ポスティング会社によっては、軒並み配布よりも配布禁止物件への対応をさらに厳密に行ったり、通常は配布しないような建物(例:管理の厳しいマンションの個別ポスト)へも特別な許可を得て配布を試みるなど、より手間とコストをかけて網羅性を高めるケースがあります。
一般的に、全戸配布の方が軒並み配布よりも配布単価が高くなる傾向があります。公共性の高いお知らせや、どうしてもエリア内の全世帯に情報を届けたいという強い要望がある場合に選択されることが多いです。一方、軒並み配布は、コストを抑えつつ広範囲にリーチしたい場合に適しています。どちらが良いかは、目的と予算に応じて判断する必要があります。
軒並み配布が効果的な業種とイマイチな業種とは?
軒並み配布は、どんな業種や商材にも万能というわけではありません。ここでは、軒並み配布との相性が良い業種と、そうでない業種について具体的に解説します。
軒並み配布と相性抜群!おすすめ業種とその理由(具体例多数)
基本的に、地域住民の日常生活に密着したサービスや、幅広い層がターゲットとなる商品は軒並み配布と相性が良いと言えます。
- 飲食店(レストラン、カフェ、居酒屋、デリバリー、テイクアウトなど):
- 理由:近隣住民が主なターゲットであり、新しいお店の発見やお得な情報(ランチ、クーポンなど)に関心を持ちやすいため。特にデリバリーやテイクアウトは商圏が限定されるため、エリア内の幅広い層への告知が有効。
- スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど小売店:
- 理由:日用品や食料品など、生活必需品を扱うため、老若男女問わず多くの住民が顧客となり得る。特売情報やポイントアップキャンペーンなどの告知に適している。
- 美容室、理容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーション施設など:
- 理由:定期的な利用が見込めるサービスであり、近隣住民が潜在顧客となる。新規オープン、キャンペーン情報、季節限定メニューなどの告知に有効。
- 整体院、整骨院、歯科医院、クリニック(内科、小児科など地域密着型):
- 理由:体調不良やメンテナンスなど、多くの人が利用する可能性のあるサービス。特に地域のかかりつけ医を目指す場合は、広範囲への認知が重要。
- 学習塾、習い事教室(ピアノ、英会話、スイミングスクールなど子供向け・大人向け問わず):
- 理由:特定の年齢層だけでなく、その保護者や幅広い世代がターゲットとなり得る。無料体験レッスンや説明会の告知など。
- 不動産業(地域密着型の売買仲介、賃貸仲介、オープンハウス告知など):
- 理由:物件情報や売却査定の案内など、広範囲の住民にアプローチすることで潜在的な顧客を発掘できる。「近所で家を探している」「そろそろ住み替えを考えている」といった層に響く可能性がある。
- ハウスクリーニング、不用品回収、リフォーム会社など住まい関連サービス:
- 理由:多くの家庭で必要となる可能性のあるサービス。特に季節の変わり目や大掃除シーズンなどのタイミングでの告知が効果的。
- フィットネスクラブ、スポーツジム:
- 理由:健康志向の高まりとともに、幅広い年齢層がターゲットとなる。入会キャンペーンや体験レッスンの告知。
- 水道修理、鍵交換など緊急性の高いサービス:
- 理由:いざという時に思い出してもらえるよう、マグネット付きチラシなどで常に目につく場所に保管してもらうことを狙い、広く配布する。
効果的な業種
地域住民向けサービス(飲食店、スーパー、美容室、整体院など) これらの業種は、顧客の多くが店舗周辺の地域住民であることが一般的です。そのため、特定のデモグラフィック情報(年齢、性別、所得など)で細かくセグメントするよりも、まずは「ご近所の方々に広く知ってもらう」ことが集客の第一歩となります。軒並み配布は、この「広範囲への認知獲得」という目的に最も合致した手法の一つと言えるでしょう。特に、日常的に利用頻度が高いサービスや、生活に根差した商品であればあるほど、軒並み配布による「刷り込み効果」も期待できます。 効果的な業種H4(5): 不動産(広範囲の認知獲得、オープンハウス告知など) 不動産業界、特に地域密着で活動している仲介業者にとって、軒並み配布は重要なマーケティング手法です。
「売りたい人(売却物件の発掘)」と「買いたい人・借りたい人」の双方にアプローチできる可能性があるからです。オープンハウスや現地販売会の告知では、近隣住民だけでなく、たまたまそのエリアを訪れた人への情報提供も期待できます。また、「不動産無料査定」のようなチラシは、今すぐではないものの将来的に売却を考えている潜在層へのアプローチとして有効です。ただし、高額な物件のみを扱う場合や、特定の富裕層向け物件の場合は、選別配布の方が適していることもあります。
こんな業種・商材は要注意!軒並み配布が向かないケース
一方で、以下のような特徴を持つ業種や商材の場合、軒並み配布では費用対効果が悪くなる可能性があります。
- 高額商品・高級サービス(ターゲットが富裕層に限定されるもの):
- 例:高級外車、宝飾品、会員制高級クラブ、オーダーメイドの高級スーツなど。
- 理由:ごく一部の富裕層のみがターゲットとなるため、不特定多数に配布する軒並み配布では無駄が多くなります。DMや富裕層向け雑誌への広告、選別配布などが適しています。
- ニッチな専門サービス・商品(ターゲットがごく一部の趣味・嗜好を持つ層に限定されるもの):
- 例:特定のコレクター向け商品、非常に専門的な技術指導、特殊なペット用品など。
- 理由:興味を持つ人が極端に少ないため、軒並み配布ではほとんど反響が期待できません。専門誌への広告、オンラインコミュニティでの告知、ターゲットを絞ったWeb広告などが有効です。
- BtoB商材(企業や事業主がターゲットのもの)で、かつ特定の業種に特化している場合:
- 例:特定の産業機械、医療機関専門の会計ソフトなど。
- 理由:一般家庭に配布しても意味がありません。事業所限定配布や、業界専門誌への広告、テレアポ、Web広告などが適しています。
- 商圏が非常に狭く、かつターゲットも明確な場合:
- 例:徒歩数分圏内の学生のみをターゲットにした個人経営の小さな文房具店など。
- 理由:軒並み配布では広範囲すぎる可能性があります。店舗周辺での手配りや、学校への許可を得てのチラシ設置など、よりピンポイントな手法が良いかもしれません。
これらのケースでは、無理に軒並み配布を行うよりも、よりターゲットを絞り込める他の広告手法を検討する方が賢明です。
軒並み配布で最大限の効果を引き出す5つの秘訣
軒並み配布は「ただ配れば良い」というものではありません。いくつかのポイントを押さえることで、その効果を大きく高めることができます。ここでは、私が長年の経験から導き出した5つの秘訣をご紹介します。
秘訣1:配布エリアの戦略的選定と配布禁止リストの徹底
「軒並み」とは言え、どのエリアに配布するかは非常に重要です。自社の商圏、ターゲット顧客が多く住んでいそうなエリアの特性(例:単身者が多い、ファミリー層が多い、高齢者が多いなど、大まかな傾向)を考慮して配布エリアを選定しましょう。国勢調査などの公的データや、ポスティング業者が持つエリア情報を参考にすると良いでしょう。 また、信頼できる業者は独自の配布禁止リスト(クレームがあった家、投函拒否のマンションなど)を日々更新しています。このリストがしっかり管理・運用されているかを確認することも、無駄な配布やクレームを減らす上で重要です。
秘訣2:チラシデザインの工夫:誰にでも響く情報設計とは?
軒並み配布で多くの人の目に触れるチラシは、一瞬で「自分に関係があるかも」と思わせる工夫が必要です。
- キャッチコピーの重要性: 一目でメリットが伝わる、興味を引くキャッチコピーを大きく配置しましょう。
- 分かりやすいレイアウト: 情報が整理されていて、どこに何が書いてあるかすぐに分かるように。ゴチャゴチャしたデザインはNG。
- 魅力的なオファー: クーポン、割引、プレゼント、無料体験など、行動を促す「お得な情報」を盛り込む。
- ターゲットを意識しつつも普遍性を持たせる: 例えば主婦向けサービスでも、家族の誰かが見て「お母さんに教えてあげよう」と思うような、間口の広い情報提供も時には有効です。
- 連絡先の明記: 電話番号、地図、ウェブサイトURL、QRコードなどを分かりやすく掲載する。
[ここに「効果的な軒並み配布用チラシデザインのポイントを示した図」を挿入]
秘訣3:適切な配布頻度とタイミングの見極め方
ポスティングは1回で終わらせず、継続的に行うことで効果が高まる場合があります(ザイオンス効果)。ただし、やみくもに頻度を上げれば良いというものでもありません。
- 商材の検討サイクルに合わせる: 不動産やリフォームなど検討期間が長いものは、数ヶ月に一度。飲食店やスーパーなど利用頻度が高いものは、毎週または隔週など。
- イベントや季節に合わせる: セール時期、新生活シーズン、ボーナス時期、季節のイベント(クリスマス、母の日など)に合わせて配布する。
- 競合の動きを見る: 競合他社がチラシを多く配布する時期をあえて避けるか、逆に合わせて対抗するか戦略を練る。
- 天候も考慮に入れる: 雨の日はチラシが濡れて反響が落ちやすいため、可能であれば晴れた日を選びたい(業者によっては雨天でも決行します)。
一般的に、週末に向けて情報が欲しい人が多いため、水曜日~金曜日に配布完了するよう計画するケースが多いです。
秘訣4:反響測定と改善:やりっぱなしにしないために
配布したら終わり、ではいけません。必ず反響を測定し、次回の改善に繋げましょう。
- 効果測定方法の準備: チラシ専用の電話番号を設ける、チラシ持参で特典をつける、ウェブサイトへのアクセスに専用URLやQRコードを使う、「チラシを見た」と言ってもらうなど。
- データの記録と分析: いつ、どのエリアに、どんな内容のチラシを何枚配布し、どれだけの問い合わせや来店、成約があったかを記録・分析する。
- A/Bテストの実施: 配布エリア、チラシのデザイン、キャッチコピー、オファー内容などを一部変えた2種類以上のチラシを配布し、どちらの反響が良いかテストする。 これを繰り返すことで、自社にとって最適な軒並み配布のパターンが見えてきます。
秘訣5:信頼できるポスティング業者の選定ポイント
軒並み配布の品質は、依頼するポスティング業者によって大きく左右されます。以下のポイントをチェックして、信頼できる業者を選びましょう。
- 実績と経験: 創業年数、過去の配布実績(特に自社と同業種の実績)、対応エリアの広さなど。
- 配布員の管理体制: GPSによる配布管理、抜き打ちチェック、研修制度の有無など、配布品質を担保するための具体的な取り組み。
- 配布報告の透明性: いつ、どこに、何枚配布したかの報告が明確か。GIS(地理情報システム)などを使った詳細なレポートがあれば尚良い。
- クレーム対応体制: 万が一クレームが発生した場合の対応フローが整備されているか。
- 料金体系の明確さ: 見積もりが分かりやすく、追加料金が発生するケースなどが事前に明示されているか。
- 提案力: 単に言われた通りに配るだけでなく、エリア選定やチラシ内容について、プロの視点からアドバイスをくれるか。
複数の業者から見積もりを取り、対応や提案内容を比較検討することをおすすめします。
【体験談】私がコンサルで見た軒並み配布の成功事例と失敗事例
長年ポスティングコンサルタントとして活動する中で、軒並み配布をうまく活用して成果を上げた企業もあれば、残念ながら期待外れに終わった企業も見てきました。具体的な事例を少しご紹介します。
成功事例:〇〇業A社がエリア戦略で反響率を2倍にした方法
A社は、都心部で新規オープンしたカフェでした。当初、店舗周辺の半径500mに漠然と軒並み配布を行っていましたが、反響は今ひとつ。そこで私が提案したのは、店舗のターゲット層である20~30代の単身女性が多く住む「賃貸マンションが多いエリア」と、週末に家族連れで来店しそうな「やや離れた戸建て住宅街の特定区画」に絞り、配布エリアを再設定することでした。さらに、チラシ内容もそれぞれのエリア特性に合わせて微妙に変え(単身者向けには「お一人様歓迎セット」、ファミリー向けには「週末限定キッズプレート」を訴求)、配布タイミングも工夫しました。結果、配布枚数は以前より減ったにも関わらず、問い合わせ数と実際の来店客数は約2倍に増加。軒並み配布でも、エリア戦略とチラシの工夫次第で効果が大きく変わることを示した事例です。
失敗事例:△△業B社がターゲット設定ミスで無駄打ちになったケース
B社は、富裕層向けの高級リフォームサービスを提供する会社でした。社長は「まずは広く認知させたい」と考え、広範囲に軒並み配布を実施。チラシのデザインも高級感を意識したものでしたが、残念ながら反響はほとんどありませんでした。原因は明らかで、B社のサービスは一般的な所得層には価格的に手が出しにくく、そもそもニーズが限定されていたためです。このケースでは、最初から富裕層が多く住むエリアに絞った選別配布や、既存顧客からの紹介、あるいは富裕層向けメディアへの出稿などを検討すべきでした。軒並み配布は、商材とターゲット顧客の特性を無視すると、大きな無駄打ちになってしまうという教訓です。
これらの事例からも分かるように、軒並み配布は「誰にでも合う魔法の杖」ではありません。自社の状況を冷静に分析し、戦略的に活用することが成功への道です。
軒並み配布に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、軒並み配布に関して初心者の方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 軒並み配布の料金相場はどれくらいですか?
A1. 軒並み配布の料金は、配布エリア(都市部か地方か、住宅の密集度など)、チラシのサイズや重さ、配布期間、依頼するポスティング業者の設定などによって大きく変動します。一般的な目安としては、A4サイズ片面のチラシで1枚あたり3円~7円程度と言われることが多いですが、これはあくまで目安です。正確な料金は、必ず複数の業者に見積もりを依頼して確認してください。最低配布枚数が設定されている場合もあります。
Q2. 「ローラー配布」と「軒並み配布」は完全に同じ意味ですか?
A2. ほぼ同義で使われることが多いです。どちらも「指定エリア内のポストがある建物を端から順に(ローラーをかけるように)配布していく」という意味合いで理解して問題ありません。業者によっては社内で使い分けているケースもあるかもしれませんが、一般的には同じ配布方法を指していると考えて良いでしょう。
Q3. 配布禁止の建物には本当に配布されないのですか?
A3. 信頼できるポスティング業者は、過去のクレームや住民からの要望に基づき、「配布禁止物件リスト」を作成し、配布員に徹底しています。そのため、リストに掲載されている建物には基本的に配布されません。しかし、リストの更新が追い付いていない場合や、配布員のミス、新規の住民が以前の住民の意向を知らずにクレームを入れるなど、100%完全に防げるとは限りません。優良な業者は、そうした事態を最小限に抑える努力をしています。
Q4. 軒並み配布でも反響率を上げるコツはありますか?
A4. はい、あります。本記事の「軒並み配布で最大限の効果を引き出す5つの秘訣」で詳しく解説しましたが、特に重要なのは「戦略的なエリア選定」「魅力的なチラシデザイン(特にキャッチコピーとオファー)」「適切な配布頻度とタイミング」「反響測定と改善」です。また、ターゲットを全く絞らないのではなく、「このエリアには比較的こういう層が多いから、こういう訴求が響くかもしれない」といった仮説を持って取り組むことも有効です。
Q5. クレームが発生しやすいと聞きましたが、対策はありますか?
A5. 軒並み配布はターゲットを絞らないため、選別配布に比べて「不要なチラシ」と感じる人が多くなる可能性があり、相対的にクレームのリスクは高まると言えます。対策としては、まず「配布禁止物件リスト」をしっかり管理している信頼できる業者を選ぶことが大前提です。また、チラシ自体に「ご不要の方はお手数ですがご連絡ください」といった一文と連絡先を小さく記載しておくことで、直接的な強いクレームを避ける効果が期待できる場合もあります(ただし、連絡があれば真摯に対応する必要があります)。業者によっては、クレーム対応専門の窓口を設けているところもありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ:軒並み配布を理解し、賢くポスティング戦略に活かそう
今回は、ポスティングの基本である「軒並み配布(ローラー配布)」について、その定義からメリット・デメリット、他の配布方法との比較、効果的な業種、成功の秘訣、そしてよくある質問まで、幅広く解説してきました。
軒並み配布は、広範囲に情報を届けたい、比較的低コストで実施したい、多くの人に受け入れられる可能性のある商材を扱っている、といった場合に有効な手段です。しかし、その一方で、ターゲット外への配布が多くなったり、反響率が他の方法より低めになったりする可能性も理解しておく必要があります。
重要なのは、自社の目的、ターゲット顧客、予算、そして商材の特性をしっかりと見極め、軒並み配布が本当に最適な手段なのかを判断することです。そして、実施する際には、エリア選定、チラシデザイン、配布タイミング、業者選びといった各ポイントを戦略的に考え、効果測定と改善を繰り返していくことが成功への道となります。
当サイト「ポスティングの学び舎(仮称)」では、ポスティングに関するあらゆる知識やノウハウを、初心者の方にも分かりやすく提供しています。もし、「自社にはどの配布方法が合っているのか具体的に相談したい」「もっと効果的なチラシデザインについてアドバイスが欲しい」「信頼できるポスティング業者を紹介してほしい」など、ポスティングに関するお悩みやご要望がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。300社以上のポスティング戦略をサポートしてきた経験豊富なコンサルタントが、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なプランをご提案させていただきます。あなたのビジネスがポスティングで成功を収めるお手伝いができることを、心より楽しみにしております。